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⑦がん治療と仕事との両立(その三)
2020-07-10
――がん治療と仕事との両立③――
 
 前回は、Aさんが、術後に職場復帰されたときの様子や戸惑いなどについて伺いました。今回は、再発後の治療の状況についてお話し頂きます。
 
■その後は?再発の不安は?
 職場復帰後、半年ほど経ったとき、医師から「再発」を告知されました。リンパ節に転移しているとのことでした。即、「別の薬を。」ということで、ドセタキセルとサイラムザという抗がん剤を使うことになりました。この薬ならば吐き気は出ません。けれども、脱毛や味覚障害の副作用がありました。病院食は元々薄味。「味がしない」というよりは、何だか口の中がずっと熱い感じで、何とも言い表しがたい変な感覚でした。結局、辛うじて私の体が受け付けたのは、カップ焼きそば、ゼリー、そしてヨーグルトだけでした。
 脱毛の副作用は2クール目くらいから深刻な状況でした。何しろ、頭髪がごっそり抜けるのです。このため、枕に触れただけでも頭皮が痛くて眠れないほどでした。導眠剤を飲んで辛うじて眠るものの、翌朝には枕に頭髪の塊がびっしり付いているような状態でした。脱毛といっても、きれいには抜けません。うなじや耳の上の生え際のみ中途半端に生え残り、あとはツルツルに。最初は帽子を被って出勤していましたが、同僚からも不審がられるので、思い切ってウィッグを購入しました。20万円ほどの痛い出費となりましたが、それでも職場に溶け込もうと必死でした。同僚にはまだ打ち明けられず。ともかく、変に気を遣われるのが嫌でしたし、職場で足手まといになるのも嫌でした。自分自身も、がん治療に対してネガティブなイメージしか持てなかったからだと思います。
 
■周囲の職員に病状を知らせずに働くのは大変だったのでは?
 はい、大変でした。あるとき、とても仕事が忙しい時があり、同僚に「手伝って。」と思い切って投げかけたことがありました。ところが、病名を明かしていなかったため、言われた側も受け止めが難しかったと思います。私は私で、どこまでお願いすべきか、相手としても、どこまで手伝えば良いのか分かりづらいため、結局、私自身で抱え込んでしまい、疲れ切って休んでしまうという状態でした。
 また、別の機会には、職場で弱音を吐いて「疲れた。」と口にしたこともありました。けれども、周囲の反応は「それくらいの仕事でなぜ疲れるの? みんなやっていることでしょう? 年齢的にもそれぐらいやってよ。」という感じでした。やはり、周囲に病状をオープンにしていなかったのが原因だと思います。
 
■治療は順調に進みましたか?
 ドセタキセルとサイラムザの抗がん剤投与を4クール終えて何か月か経つと、髪が生え始めました。この抗がん剤治療にあたり、最初だけ入院しましたが、あとは通院で乗り切りました。大変な苦痛を伴うものでしたが、無情にもドセタキセルは効きませんでした。というのも、その4か月後、咳が止まらなくなるという異常が表れたのです。接客業務の際、脇にペットボトルを置き、一言話すごとに水を飲んで咳を抑えるような異様な状態でした。きっと来庁した県民にも不審がられていたことでしょう。月に1回は検診していたものの、CT、レントゲンの結果、「がん性リンパ管症」と診断されました。増殖したがん細胞がリンパ管に詰まり、レントゲン写真を見ると肺が真っ白に写っていました。これが「進行がん」のしぶとさなのでしょう。
 薬が効けば、がん細胞は小さくなるかもしれません。けれども、骨髄抑制(以下参照)は必ず起こります。抗がん剤はがん細胞のみならず、新しく生まれた正常な細胞にも影響を及ぼします。私も白血球数が700個/μl程度まで落ちてしまい、敗血症で命を失うリスクがありました。成人の正常値は3,500~9,200個/μlと言われていますので、どれほど異常かが分かるでしょう。このため、抗がん剤投与の後、ジーラスタという薬を入れて急激に白血球を増やすことになります。ところが、この薬は、関節痛や頭痛など、大変な痛みを副作用として引き起こします。私たちがんサバイバー(がんを経験した人)は、痛みから即、転移の恐怖に苛まれます。私も痛みに戦慄しましたが、医師から「薬の副作用」との説明を聞き、胸を撫でおろしたのを覚えています。
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●骨髄抑制とは
 抗がん剤は、細胞分裂が活発な細胞に強く作用します。がん細胞のみならず血液を造る骨髄も、非常に細胞分裂が活発なことから抗がん剤の影響を受けやすく、このため骨髄が血液を正常に造ることができなくなります。これを「骨髄抑制」と言います。どのような症状が出るかは、血液細胞を構成する3要素である白血球・赤血球・血小板のうち、どの成分が不足するかにより異なります。抵抗力の低下・貧血・出血などの症状は、脱毛や吐き気と異なり、自分では気づきにくいこともあるため、抗がん剤治療中は、定期的な検査を行い注意深く経過観察することが必要です。
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