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⑧がん治療と仕事との両立(その四)
2020-08-10
 前回は、Aさんから、抗がん剤治療による副作用などを中心に伺いました。今回は、再発を受けて治療法を変えた後の状況についてお話しいただきます。
 
■抗がん剤が効かなかったとのことですが、その後の治療はどうされたのですか。
 主治医から2つの選択肢が提示されました。一つは、カルボプラチン等3種の抗がん剤を使い、4クール入院治療すること。かなり強い薬ではあるものの、エビデンスがあるとのことでした。そしてもう一つは、最近認可された免疫療法で、最新のテセントリクという薬を使うものです。免疫療法といえば、本庶佑氏が研究・開発に携わったオプジーボが「夢の薬」として有名ですが、2割にしか効果がないとのこと。一方、テセントリクはさらに新しいタイプの薬で、エビデンスには未知数の部分があるものの、従来の薬では効果が得られなかった患者にも可能性が広がるということでした。また、他の抗がん剤に比べると副作用は多少軽いということで、「これに賭けてみよう」と入院を決意しました。
 テセントリク治療の初めの時は、副作用が感じられませんでした。以前、別の薬で苦しめられた味覚障害もありません。点滴で投薬しますが、薬を入れたかどうかも分からないくらいでした。このため、「しばらく続けてみよう」ということで、2020年7月末現在で36回投薬しています。
 
■現在の状況はいかがですか?
 体は楽です。定期的にひどい眠気や微熱に襲われることはあるものの、吐き気や脱毛もありません。でも、重大な副作用があります。それは、テセントリクによって活性化された免疫力が、がん細胞のみならず正常な細胞をも攻撃し始めるということです。結果として、間質性肺炎、糖尿病、甲状腺機能障害、膵炎等の自己免疫疾患を引き起こす可能性もあるということです。私としては、皮膚疾患(アトピーのような痒み)に悩まされました。投薬により、ずっと倦怠感が続きましたが、投薬5回目くらいで、がん性リンパ管症は消えていき、同時に、咳も収まってきました。
 
■薬が効いているのですね。今はどのように仕事と両立されていますか?
 テセントリクは3週間に1回通院して投与します。当日は1日休暇を取得し、朝一番で病院へ。7:40病院受付→血液検査→結果が出るまで約1時間待機→10:00診察→15分くらいの診察→11:00免疫療法(1時間くらい)→帰宅して午後は休養。このようなスケジュールになっています。抗がん剤治療ほどのダメージはないものの、CTもレントゲンも頻繁に撮っていますので、きっとものすごい被曝量でしょう。
 抗がん剤投与の場合には、1日目抗がん剤投与、2日目白血球を増やす注射、3日目休養とする必要があります。ただし、4クール投与した後、体から薬剤が抜ければ、味覚障害や脱毛等の副作用は消えます。
 一方、免疫療法だと、副作用の強さは多少抑えられるものの、間質性肺炎や糖尿病のリスクは高いままです。
 
■リスクを十分認識しながらも、免疫療法に踏み切った理由は何でしょうか?
 抗がん剤はミクロの単位でがん細胞を攻撃しますが、薬剤が体から抜けた後、新たに生まれてくるがん細胞には効果がありません。免疫療法は、自分の体の免疫力を活性化させてがん細胞を攻撃するものです。たしかに自己免疫力が暴走し、自分の体を攻撃し始めるリスクは無視できません。けれども、とにかく抗がん剤の副作用が嫌でした。「うんざり」というのが正直なところです。
 免疫療法は、新しく開発された方法です。新しいものに賭けてみたい、試してみようという気持ちでした。「それでダメなら、次は抗がん剤を」という感じで。現在、テセントリクは「当たり」と言えますが、寛解(かんかい)[病気の症状が軽減またはほぼ消失し、臨床的にコントロールされた状態]とまではいきません。腫瘍マーカーは依然として基準値を少し超えています。ほかにも、主治医には放射線治療を提案されていますが。
 
■読者に伝えたいことはありますか?
 検診に行って「所見あり」となった場合には、必ず精密検査を受けてほしいです。発見の遅れは死に直結しますので。早期であれば切除できる確率が高いですし、早く発見すれば早く治ります。
 私も、人間ドックで引っかかる前には自覚症状が全くありませんでした。がんが発見される2か月前には、金毘羅山に登り、息切れもなく快調でしたし。また、往復60kmを超えるような距離を自転車で元気に往復するほどでした。
 がん治療には、切除・放射線・抗がん剤・免疫療法・ゲノム医療等、様々な治療法が選択肢としてあります。まずは専門医と相談すること。ネット上には恐怖を煽るような情報も多いですが、それでもある程度は自分で情報収集することが必要だと思います。私の場合には、たまたま主治医が勧めてくれたテセントリクが功を奏しました。その選択肢がなければ、カルボプラチン3種抗がん剤しか道がなかったと思います。そうなれば、ものすごい副作用に苦しめられたに違いありません。
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