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静岡県職自治研集会

 

静岡県職自治研集会

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第27回静岡県職自治研集会
第27回県職自治研集会報告
集会テーマ「分権と地方税財政」

  県職は8月22日(水)、県産業経済会館において、単組独自の自治研集会を開催、44人が参加した。賃金闘争だけでなく、自治体労組として行財政面からも 取組を進めるもので、今年で27回目を迎える。集会は、県職の自治政策活動を支援するシンクタンクとして4年前に発足した行財政研究フォーラムの研究員で もある照井自治政策部長(副委員長)による基調報告の後、池上岳彦氏(立教大学経済学部教授)の基調講演を受けた。また、講演後の分科会では、地方税、社 会保障について討論した。


▲講師は静岡県地方税制度研究会の座長を務めた池上岳彦氏。=8月22日、県産業経済会館

 
【基調講演】
『地方税制の課題と改革の方向性』
講師 池上岳彦氏(立教大学経済学部教授))

 池上氏は、「はじめに」として、現在の情勢における地方税財政の重要性について、次のように指摘しました。
 「社会保障と税の一体改革」において、地方財源としての地方税(地方交付税分を含む)の充実は喫緊の課題であるが、それは消費課税だけの問題ではない。
 また、東日本大震災からの復興、防災施策の強化にあたっては、公共施設・住宅等の復旧・耐震強化・津波対策、地域社会・経済の再生と持続可能性の確立、原子力発電所事故被害への補償、安全なエネルギーシステムへの転換等、課題がなお山積している。
 地域社会において、サービスを担う地方団体の役割は大きく、国と地方団体の協力関係が必要不可欠である。住民の要望を容れて、地域ごとの多様な財政需要を汲み取りつつ、それを財源保障する地方税財政制度が重要である。それは「地域主権」「地方分権」とも適合的である。
 その上で、わが国の税財政の全体像について、①国と地方の経費分担では、地方が経費(公債費を除く)の6割台を支出している、②政府規模の国際比較では、日本はアメリカと並んで相対的に「小さな政府」であり、特に公共部門職員が少ないことなど、その特徴を紹介しました。
 講演は、ここから、「静岡県地方税制度研究会報告書」を踏まえて本題である地方税の話に入りました。まず、地方税の原則として挙げたのは、①応益性、②普遍性、③安定性、④負担分任、⑤自主性、⑥国税との共通原則(公平、明確、簡素、便宜、十分性、伸長性)です。
  特に応益課税かつ応能課税としての住民税(特に個人住民税所得割)は、住民が担うべき相互扶助サービス…教育・福祉・保健衛生・環境等の対人社会サービ ス…を地方政府に行ってもらう代わりの税負担であることや、対人社会サービスを地方政府に委ねることによって、多くの便益を得るのは高所得者であることか ら、所得に応じた負担が望ましいとする基本的視点を提示しました。
 政府の「地域主権戦略大綱」(2010年6月22日、閣議決定)は、「地域主 権改革を推進し、国の役割を限定して、地方に大幅に事務事業の権限を移譲する。国と地方の役割分担を踏まえるとともに、地方が自由に使える財源を拡充する という観点から国・地方間の税財源の配分の在り方を見直す。社会保障など地方行政を安定的に運営するための地方消費税の充実など、税源の偏在性が少なく、 税収が安定的な地方税体系を構築する」としています。池上氏は、これに関連して、改革の基本課題と改革の方向性を、別記(右下)のように整理しました。
  この基本的な方向性に基づき、各税目の課題とあるべき姿については、①個人住民税所得割は、個人のあらゆる所得を把握して総合的に課税することが望ましい こと、②法人事業税では税収の安定や偏在度の縮小のため付加価値割拡大が重要な課題であること、③税源の偏在度が小さく、税収も安定的な地方消費税を充実 させることは課題ではあるが、「社会保障関係費をすべて消費税でまかなう」という意味での「福祉目的税」は不適切であることなどを指摘しました。
  また、地方消費税については、税率引上げや地方自治体の執行責任から地方団体が課税徴収に関与することが必要であるとの認識を示しました。さらに、消費税 は逆進性が強いため、これを緩和する方策の導入が増税の前提となるが、「給付付き税額控除」(控除額が納税額を上回る場合に還付(給付)するタイプの税額 控除)には、番号制度による所得捕捉が必要であり、かつ確定申告者数の急増から税務コストの拡大が予想され、実現への条件整備は厳しいとの見通しを述べま した。
 このほか、課税自主権の拡大、「ナショナル・スタンダード」サービスの財源保障と地方団体間の財政力格差是正(財源調整)の役割をもつ地方交付税の改善、臨時財政対策債からの早期脱却などの必要性を説きました。
 おわりに、地方税及び地方交付税は、地方の創意工夫を生かす財源であり、「地域主権」「地方分権」を支えるとともに、地域の安全な生活を回復・持続させるための財源としてふさわしいことを強調して、講演を結びました。(自治政策部長 照井 健)
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